カテゴリー「1000マイルの航空コラム」の記事

2007年6月28日 (木)

JR東日本に事故対策はあるのか?

OhmyNews掲載記事 

6月22日金曜、JR東日本宇都宮線と高崎線の埼玉県内の架線が切れたことで、この2線および京浜東北線、湘南新宿ラインなどほぼ全線が運行を見合わせた。これにより沿線の東京都・神奈川県と広域で鉄道幹線が止まり、復旧に6時間以上を要した。

 公共交通機関に求められる役割は、何よりも「安全な輸送」、そして「予定通りの運行」であろう。安全運行は必須であるが、人々の足としては、「予定通り」に運行することも求められる。

 今回の事故で、JR東日本は、たった「架線が1本切れた」だけで、社会から求められる役割をまっとうできない場合がある、という脆弱性を露呈してしまった。

 日本経済新聞13版43ページによれば、この事故の原因は人災であったようだ。列車が赤信号で停止する際、停止位置を間違えたことに端を発しているという。高崎線の上り電車の運転士が、停止位置の約70メートル手前で誤って電車を止め、電車最後尾にある、架線から電力を受けるパンタグラフが「エアセクション」と呼ばれる架線と架線の継ぎ目で接触した際、火花が飛んで架線が溶けて切れたというのだ。

 確かに事故の原因は人災だったかもしれない。だが、安全対策を考える時、「人間は間違えるもの」として対策をとることは常識だ。

 JRは、「架線が切れたらどうするか」という対策として、「全部の電車を止めてしまう」というネガティブな対応しか持ち合わせていなかった。これは、厳しい言い方をすれば、対策はなかったと言うことである。航空・鉄道事故調査委員会の統計では、「架線が切れる」という事故は前例があまりないようで、そのために対策もなかったのかもしれない。国土交通省が警告を発していることもあり、今後対策が立てられることになろう。

 前述したように事故対策として最低限求められるのは、「安全と定時運行の確保」だ。その意味では、「架線が切れたら全部止める」という対策は間違っているとはいえない。

 だが、今回の事故の場合、求められている対策は、「架線が切れないようにする」「切れても運行に支障がないようにする」ことであろう。

 「架線が切れないようにする」には、今回の直接原因となった、停車してはいけないエアセクション区間をなくす、短くするなどの方策が考えられる。

 「切れても運行に支障がないようにする」には、「もう1本架線を引く」「迂回(うかい)路線を設定する」「並行する他線の定時運行を確保する」などの方法が考えられる。

 無論、私は鉄道の専門家ではない。これらのいずれの案も素人考えである。JR東日本は、専門技術と組織力で、次回からは「架線が切れても定時運行でした」なんてニュースが聞けるようにしてほしい。

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2007年6月25日 (月)

日本航空は時代の流れについてこれるのか

6月22日付の読売新聞によると、政府は「規制改革推進のための3ヵ年計画」を決定したという。これには、国際航空運賃について、現在国際的な標準割引運賃の7割引に設定されている下限規制が撤廃されることが明記されているという。これにより格安航空会社の参入を容易にし、利用者の利便性向上と航空会社の競争促進を目指すことを意図しているらしい。

折りしも国際航空路線への参入は、オープンスカイ協定が主流だ。オープンスカイ協定とは、基本的に二国間、または地域内の各国において、航空サービス市場への参入を自由にする取り決めをいう。日本も今後はオープンスカイ協定を結ぶ流にあることは、今回の規制緩和を見ても明らかであり、日本の空は、価格も路線も自由に参入と撤退が繰り返される時代がやってくる。

オープンスカイ協定に対応するように、欧米に始まった格安航空会社設立の波は、すでにアジアを席巻し始めており、近隣では大韓航空が格安航空会社設立を決めており、日本でも全日空が格安航空業界への参入を視野に入れている。全日空は、国内のみならず国際線でも利益を伸ばし、ホテル売却などによる経営戦略の選択と集中を繰り返し、規制緩和への体力を着実に付け始めているといえよう。

ひるがえって日本航空はどうか。整備不良や安全軽視などの不祥事がここ数年途切れることがない。消費者の信頼も失い、国内を中心に収益が悪化している。大量に保有しているボーイング747タイプ(ジャンボジェットタイプ)も古くなり買い替えの時期なのだが、その資金繰りにも困っている。ごく最近では、資本レベルでも不足が心配されるようになり、政府系の日本政策投資銀行などに資本支援を要請するなど、業績の悪化に始まる悪循環スパイラルから抜け出せていない。

日本航空は1987年に民営化された。今年で民営化20年目というわけだ。この20年間、資本主義の論理にしたがって経営をしてきたのではなかったのか。もちろん航空産業は政府規制に守られている部分が大きいが、そこは全日空も同じ条件だったはずだ。利益率に差が出ているのは、経営レベルに差があるということだろう。上述したように、民営化20年目の今年、資本に政府系金融機関からの支援を受けることとなった。これは言うまでもなく、政府に経営についての発言権を差し出した、つまりは完全民営化を放棄した、と言ってもいいだろう。

政府は、一方で規制緩和を進め、他方で日本航空を過保護なまでに市場の波から守ろうとする。このままでは日本航空は資本主義の市場においていつまでもオコチャマなままであり、独立した企業としてひとり立ちすることはないだろう。日本航空の経営陣にも「困ったときの政府頼み」という意識はいつまでも変わらない。

政府はこの際、日本航空の経営に一切触れることなく、「倒産しても助けない」というスタンスを明確にしてはどうか。万一倒産したときの社会の混乱を防ぐ対策をしっかりと立て、日本航空のひとり立ちを促すのだ。

世界の航空市場は、政府規制に守られた企業をいつまでも相手にはしてくれないだろう。

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2007年6月21日 (木)

新規航空会社が越えるべきハードル

OhMyNews掲載記事

6月15日付けの朝日新聞の報道によると、「料金の安さ」が売りの新規航空会社の業績が冴えないらしい。

 航空業界は1996年あたりからの規制緩和の波に乗って、スカイマーク(本社・東京都港区)、北海道国際航空(以下エアドゥ、本社・北海道札幌市)、スカイネットアジア航空(本社・宮崎県宮崎市)、そしてスターフライヤー(本社・福岡県北九州市)といった、新規航空会社が出現した。

 航空機自体や提供できる事業に大差がない航空業界において、新規航空会社は価格で差別化することを経営戦略に選んでいる。しかし低価格でそれなりの収益を上げるには、利用者数が莫大でなければならないことは自明だ。新規航空会社の業績が冴えないとは、それだけ利用客に支持されていない、ということなのだ。

 航空会社に求められていることはなにか。それは「安全」と「サービス」だろう。この2つで利用客は安心感を得る。では、新規航空会社にはそれらが欠けているのだろうか。その点を検証してみよう。

 * * *

【スカイマーク】
 まずスカイマークの場合、安全性に問題ナシとはいいにくい。2005年に国土交通省の抜き打ち検査、2006年の抜本修理放置、2007年には航空機整備漏れなど、この会社の安全軽視の話題には事欠かない。新規航空会社の先陣を切って登場した同社だが、このままではお客様の支持は得られまい。

【エアドゥ】
 次にエアドゥ。この会社は1998年の就航以来、重大インシデント以上に指定された事故やトラブルはない。一度経営破たんをしているが、その後整備などは全日空に委託するなど、安全面での信頼は高い。ドル箱路線の羽田−札幌をメインの収益路線としている同社に対し、日本航空や全日空はこの路線の低価格販売で対抗したため、あえてエアドゥを選ぶ理由が薄らいでしまっている。サービス面が問われていると言っても良いだろう。

【スカイネットアジア航空】
 そしてスカイネットアジア航空。この会社も一度経営破たんしている。何度か整備上の問題点を指摘されている。その後、地元宮崎交通の関連企業を中心に再建中である。現在は宮崎・長崎・熊本と羽田を結ぶ路線(9月から鹿児島ー羽田線を就航予定)を運航している。

 就航路線からもわかるように、大きなマーケットを対象としていないことから、お客様の数には限りがある。それを逆手に取り、ゆったりとした座席配置で大手との差別化を図っている。収益が低い同社にとって、整備面での不信感は死活問題である。その点での改善と大都市間の路線への就航が必須ではないだろうか。同社は「九州の会社」というアイデンティティを持っていることから、創業当時からの懸案事項となっている羽田−福岡線が経営戦略上もあっているようだ。

【スターフライヤー】
 最後にスターフライヤーである。2006年3月就航の最も新しい航空会社には、事故はまだない。逆に言えば、安全面は未知数ともいえる。羽田空港と24時間空港化している北九州空港を結ぶ同社は、革張りのシートでゆとりのある座席幅をサービスのメリットとして登場している。

 同社にとっては、安全面での無事故・無違反を継続し、安全面での消費者からの信頼を得るとともに、サービス面を強調した経営が求められよう。サービス面では、北九州空港の24時間化がうまく使われておらず、また九州に行く人にとって北九州に着陸することの意義を高める経営が必要だと思われる。

 * * *

 先日、全日空が格安航空会社の設立を検討しているとの報道もあった。新規航空会社にとっては、より経営のスピードを高めることが必要となろう。

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2007年6月17日 (日)

新規航空会社が越えるべきハードル

6月15日の朝日新聞によると、「料金の安さが売りの新規航空会社の業績が冴えないらしい。

航空業界は95年あたりからの規制緩和の波に乗って、スカイマーク、北海道国際航空(エアドゥ)、スカイネットアジア航空、そしてスターフライヤーといった、新規航空会社が出現した。

航空機事態や提供できる事業に大差がない航空業界において、新規航空会社は価格で差別化することを経営戦略に選んでいる。しかし低価格でそれなりの収益を上げるには、利用者数が莫大でなければならないことは自明だ。新規航空会社の業績が冴えないとは、それだけお客様に支持されていない、ということなのだ。

航空会社に求められていることはなにか?それは安全とサービスだろう。この二つでお客様は安心感を得る。では、新規航空会社に安全とサービスが欠けているのだろうか?その点を検証してみよう。

まずスカイマークの場合、どうやら安全性に問題があるようだ。2005年に国土交通省の抜き打ち検査、2006年抜本修理放置、2007年航空機整備漏れなど、この会社の安全軽視の話題には事欠かない。新規航空会社の先陣を切って登場した同社だが、このままではお客様の支持は得られまい。

つぎにエアドゥ。この会社は1998年の就航以来、重大インシデント以上に指定された事故やトラブルはない。一度経営破たんをしているが、その後整備等は全日空に委託するなど安全面での信頼は高い。ドル箱路線の羽田-札幌をメインの収益路線としている同社に対し、JALやANAはこの路線の低価格販売で対抗したため、あえてエアドゥを選ぶ理由が薄らいでしまっている。サービス面が問われていると行っても良いだろう。

そしてスカイネットアジア航空。この会社も一度経営破たんしている。何度か整備上の問題点を指摘されている。その後地元宮崎交通を中心に再建中である。宮崎・長崎と羽田を結ぶ路線(この秋から鹿児島ー羽田線を追加予定)を運航している。路線からもわかるように、大きなマーケットを対象としていないことから、お客様の数には限りがある。それを逆手に取り、広い座席で大手との差別化を図っている。収益が低い同社にとって整備面での不信感は死活問題である。その点での改善と大都市間の路線への就航が必須ではないだろうか。同社は九州の会社というアイデンティティを持っていることから、創業当時からの懸案事項となっている羽田-福岡線が経営戦略上もあっているようだ。

最後にスターフライヤーである。2006年3月就航の最も新しい航空会社には、事故はまだない。逆に言えば、安全面は未知数ともいえる。羽田と24時間空港化している北九州を結ぶ同社は、革張りのシートでゆとりのある座席幅をサービスのメリットとして登場している。同社にとっては、安全面での無事故・無違反を継続し、安全面での消費者からの信頼を得るとともに、サービス面を強調した経営が求められよう。サービス面では、北九州の24時間化がうまく使われてなく、また九州に行く人にとって北九州に着陸することの意義を高める経営が必要だと思われる。

先日、全日空が格安航空会社の設立を検討しているとの報道もあった。新規航空会社にとってはより経営のスピードを高めることが必要となろう。

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2007年6月14日 (木)

オープンスカイと格安航空会社

すべての道はオープンスカイに通じる。ここにきて、国の政策や航空会社の動きが、オープンスカイに照準を合わせていることが明確になってきた。

アジア・ゲートウェイ戦略会議

安倍首相が就任早々に打ち立てた「アジア・ゲートウェイ戦略会議」は、まもなく最終報告を提出する。おそらくここには、羽田空港の24時間空港化、オープンスカイの導入が明記されるものと思う。オープンスカイとは、日系外資に関わらず、日本国内への路線を自由に定めることのできる協定を言う。今まで航空会社の路線設定とは、「国際民間航空条約」に基づいた二国間協定が主流だった。これからは各国の航空行政の有り方に関わらず、航空会社主導で、採算重視で路線を設定するようになる。

空港のありかた

いまや成長する航空需要の大半は、アジアそれも中国にあることに疑いはない。それをすでに見越して、インチョン(韓国)、上海(中国)、香港、シンガポールなどの空港は、施設の拡張を急いできた。アジアの主要な空港(ハブ空港という)のほとんどは、4,000メートル滑走路を3~4本作るようデザインされている。オープンスカイにとって、最大のインフラは広大で使い勝手のいい空港の存在だ。4,000メートル4本とはそんなインフラのスタンダードなのかもしれない。オープンスカイの世界に飛び込むのならこれだけの空港を作る覚悟がいるのだ。

日本、特に首都東京はどうだ。成田は4,000メートルの滑走路1本と作りかけの2,180メートルの滑走路が一本あるだけだ。この2本目の短い滑走路では大型機は離着陸できない。成田空港とはそれだけのの空港でしかない。大げさに言えば、日本に地方空港が巨大になった、そんなコンセプトの空港でしかない。そしてこの空港がこれ以上大きくなる見込みは、ない。

羽田はどうか。現在は3000メートル滑走路2本と2,500メートル滑走路一本だ。これで混雑時には3分に一本の離着陸がある国内線をまかなっている。国土交通省は現在、「臨時便」という名前で毎日国際線(ソウル線)の定期便を認めているが、今後上海線も増え、ゆくゆく2010年には近距離国際線を定期便として認める構えである。それに備え、2,500メートル滑走路をもう一本建設中である。羽田は東京湾上にあり、拡張の可能性がありそうだ。しかし行政上、羽田は国内線、成田は国際線と区別している政策を、どうにかして撤廃する必要がある。

航空会社のありかた

航空会社は利益重視であることからも、オープンスカイに敏感だ。全日空がスターアライアンスに入り、国際的な航空会社経営のスタンダードを獲得したのも、そして格安航空会社の設立可能性に言及したのも、どれもオープンスカイをにらんでのことだ。やや時間を戻れば、1995年に当時の運輸省はすでに、航空会社の競争力の低下を憂慮しさまざまな規制緩和を進めてきた。「リストラ」「雇用形態や賃金体系の見直し」「海外での航空整備の実現」「ウェットリース」「コードシェアの推進」これら政策の転換で、航空会社は経営を柔軟に行えたはずなのだが、日本航空の場合、日本エアシステムとの合併もあり、裏目に出てしまっているようだ。

日本もまもなく、米国をはじめとする外圧もあり、オープンスカイ協定を結ぶことになろう。そのとき、国際的なスタンダードで互角に戦えるのか、はなはだ不安だ。

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